音質の良さや通話料の低価格さが評価され、1997年9月末には706万8,000件のユーザを獲得した。
しかし、携帯電話の通話料値下げやサービス向上により、PHSユーザが携帯電話サービスへシフトしてしまい、PHS事業者は業績不振に陥った。
その結果、PHS事業者の業界再編が進み、1998年にはNTTパーソナル通信網がNTTドコモに事業を譲渡し、1999年には旧アステル各社も電力系通信事業者などに吸収された。
救世主はデータ通信!!
現在では567万ユーザにまで縮小しているPHS市場であるが、各PHS事業者はユーザの減少傾向に歯止めをかけるため、PHSサービスを音声通話以外のデータ通信端末として、新たな需要の掘り起こしに注力してきた。
そうした中、2001年6月からDDIポケットが開始させた定額制データ通信サービス「AirH"」は、ビジネスマンなどの支持を得て、徐々にPHS市場の再活性化の力となっている。
関西圏でも関西電力子会社のケイ・オプティコムが「eo64エア」を開始しており、こちらも毎月ユーザを増加させ続けている。
【キーワード】
☆定額制データ通信!!
NTTドコモの「FOMA」やKDDIのCDMA2000 1x方式のように高速ではなくても、定額制であれば、ユーザは通信料を気にすることなく、データ通信を利用できる。
また、今やPHSサービスの64kbpsや128kbpsが高速データ通信とはいいがたい通信速度になりつつあるが、定額制の64kbpsや128kbpsであれば、許容範囲にあるとされる。
確かにデータ通信サービスにおいて、通信速度が高速であることは重要な要素だが、現在のユーザの意識はスピードよりもコストに重きを置くという傾向もある。
事業者側もユーザの利用シーンを想定して、準定額制プランを提供しているものの完全定額制の利便性には勝らない。
★電話番号の変更!!
サービス開始当初のサービス・エリアの不備から、携帯電話サービスにユーザが流出していってしまった。
現在ではサービス・エリアも全国に拡大しており、DDIポケットの場合、人口カバー率は約93%となっている。
ほぼエリア面では携帯電話サービスに劣らない状況になった。
しかし、携帯電話サービスからPHSサービスに移行するには電話番号が変更されてしまうデメリットがある。
【市場規模】
これまでPHSサービスのユーザ数は減少傾向が続いていたが、各PHS事業者がデータ通信サービスに注力しはじめた結果、2002年度以降はユーザ数の増加が見込める。
DDIポケットによるSDメモリ・カード型やUSB型の「AirH"」投入がカギとなりそうだ。
表:PHSサービスの累積/純増ユーザ数推移と予測(単位:千台)
年度 2001 → 2006
累積ユーザ
5,698→6,982
純増ユーザ
▲144→ 340
※2002年度以降はエムレポート推定。
【PHSの行方】
成功のカギは定額制
DDIポケットやケイ・オプティコムの成功に続き、いよいよNTTドコモも定額制データ通信サービスの検討をしはじめた。
各MVNOによる定額制データ通信サービスも続々と開始され、にわかにPHS市場が活気を増してくるものと考えられる。
すでに旧アステル各社でも定額制データ通信サービスを開始させているが、DDIポケットやケイ・オプティコムの成功には程遠い状況だ。
これには月額利用料の価格設定に問題があるものとみられ、各社が成功を収めるには思いきった利用料の低廉化が必要とされる。
その点、ケイ・オプティコムの「eo64エア」はサービス・エリアが制限されるものの、月額3,000円で64kbpsといった思いきったサービスが受けたものとみられる。
「成功のカギは"定額制データ通信"」以外にも、「次世代PHS構想」や「無線LANとの融合!!」についても掲載しています。
正式版からの抜粋を含め、いろいろと本レポートをご紹介させていただきましたが、ご興味のある方はご購入いただければ幸いです。
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なお、目次/図表はPC版に掲載しています。
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